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都市デザインワークスからのお知らせです。

岩手県沿岸部を視察しました

当法人は宮城県の復興計画整理に取り組んだり宮城県内に足を運ぶことはありましたが、岩手県の様子は伺い知ることができていませんでした。そこで2013年7月4日(木)に日帰りで岩手県沿岸部を視察しました。

主な視察場所は、田老町・宮古市・釜石市・大槌町・陸前高田市です。当法人の元インターン生が岩手県で新聞社に勤めており、視察に同行してもらい地元ならではの話を聞きながら現地へ行きました。

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宮古市役所近くの道路
市役所等、まちの中心部が海のすぐそばにある印象が強く、津波が来たことを想像すると恐怖を覚えます。

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田老町にある防波堤
堤防内陸側からは海が見えないため、沿岸部であるという感覚が弱いです。堤防は高さ海抜10m、長さ2,433mもあります。万里の長城とも例えられ、1960年チリ地震では津波からまちを守りました。しかし、東日本大震災では、町民の防波堤への安心からか、大きな被害が出ました。

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田老町の海の近くに残るホテル
第1堤防と第2堤防の間に位置し、一階と二階部分が津波によりほぼ柱だけになった民間のホテルです。周りを見学していると偶然、管理者が通りがかり、建物上階へと案内してもらいました。ホテルの4階から撮影した津波襲来時の映像を見せていただきました。
映像は上映している、その部屋から撮った映像でした。鳥肌が立つ思いで、全員、口を開けその映像に見入ってしまいました。その映像はメディアに公開しておらず、撮影者である管理者が「自分が被災したこの場所で映像を見て、津波当時の風景と今の風景を見比べて欲しい」という思いで取り組んでいらっしゃいます。実際の風景と見比べることができ、津波の恐ろしさを肌で体感したようです。

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ホテル4階の窓からの風景
映像は、左奥の山が重なる場所から水しぶきがあがり、まさに“黒い壁”が押し寄せる、3分程のものでした。

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田老町での地鎮祭
かなり大規模な地鎮祭が行なわれて、報道が駆けつけていました。ここでは道路と宅地をかさ上げする区画整理の着工が始まります。

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大槌町浪板地区の立体交差
砂浜と市街地の間を通る道路が複雑に立体交差しています。復興で堤防やかさ上げ道路等が整備されるとさらに海との距離が広がってしまいます。

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大槌町役場
津波でガラスもすべてなくなり、黒ずんだ大槌町役場です。被災地ツアーで案内をされていました。2年以上たった今でもその恐ろしさを感じます。

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釜石市の平田仮設住宅団地
大規模な仮設住宅団地で、様々な住戸タイプが共存しています。全体配置や、高齢者向け住戸、集会所は専門家による計画で、良い住環境が整備されています。住んでいる方々の、元の住まいはバラバラでしたので、住環境の充実はコミュニティを育んでいるようでした。

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復興道路
三陸の復興を産業発展により支えるためにも交通の充実が図られることになりかなり早いスピードで進む復興道路の整備。仙台港から八戸港までつながり内陸部との距離も縮まります。

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陸前高田の「奇跡の一本松」
海の目の前で堂々とそびえ立つ復興のシンボル。この日はちょうど、奇跡の一本松がレプリカとして再びもとの場所に戻ってきた日で、夜にはライトアップされました。

 

視察を通して
岩手県沿岸部はすべてリアス式海岸であるため、大部分が仙台平野を囲む宮城県沿岸部とは大きく違います。そのため岩手では地域ごとに地形が全く異なり、人口規模も小さいため暮らし方が多様で、差異がより顕著に表われています。
このような状況に県は広域での検討が難しいと判断し、防潮堤の高さなどを各自治体から聞き入れる方法を取りました。結果として防潮堤に対する判断が遅れたため、宅地などの面整備が早く進んでいる状況でした。
ただ短い視察でしたので「住宅の戸建て志向が強い岩手県において地域でどういった集まりの場があるのか」などのコミュニティ面に関する状況や、生業のある暮らしの様子を伺い知ることはできませんでした。

今後も沿岸部を広く捉えて復興まちづくりに取り組んでいきたいと考えております。

 

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