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三陸視察レポート04 〜 集住、だけど散居型?〜仮設住宅団地@モビリア(陸前高田市/岩手県 )

視察一日目の夕方に訪れた陸前高田の広田半島。
「モビリア」というオートキャンプ場の敷地を活かした仮設住宅を見学しました。

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「応急仮設住宅団地」という扱いになるとの事。
傾斜地ではありますが、コンパクトな平家建ての住宅が、元々オートキャンプ場の区画を利用して並びます。

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従前(震災前)の様子。(岩手県HPより)

建築は隣町の住田町の杉を使ったもので、ユニット。地場の産業を活用しています。

コンパクトな敷地は、住まい手それぞれが使い方を工夫している様子。中でも、緑が沢山見受けられました。
緑の小さな「かこい」を作って、遮風、遮光やプライバシーの確保をしているように見えます。
また、遠くからの目視では確認できませんでしたが、交流庭も配置されているとのこと。

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高台には、畑もありました。
(私の記憶が確かなら、震災以前この部分は草の繁る平地だったはずです。)

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ある評によると、「新築で有るのに、昔からそこにあるような「集落」の佇まいを持っている」とのこと。まさに現地でそれと同じ感想をもちました。

個々の「緑のかこい」は、敷地・建物や地先道路との関係性が程よく、規模や条件に植栽配置(所謂居久根づくり)は可能であると確信しました。

自治会はありつつも、オートキャンプ場元スタッフや地元漁家、復興支援者などによる「陸前たかだ八起プロジェクト」のような、ここを拠点とするNPO団体も存在しライトアップイベント等も行っているようです。

集住、だけど散居型?

つまり程よい距離感が確保されていて、かつ、緑がその緩衝剤になっている。そんな印象を受けます。

個々のコンパクトな住宅と、それらの有機的な配列。
斜面の地形にそった直線ではない地先道路。
こういうものが、さも元々あった集落のように見せるのでしょうか。
これらは、オートキャンプ場の区画割り・配置が幸いしての事かと思われます。

・住機能以外の都市要素が同区域内や近隣には無い事。
・それぞれの住まい方や価値観、家族構成などにより、住宅規模は一律に語れない事。

以上2点は前提としてですが、この仮設住宅団地は今後の「住む」かたちも暗示しているような気がしました。
例えば、1人・2人の世帯人数での暮らしにはこのスタイルがほぼそのまま当てはまって良いでしょうし、上記のような様々な条件の人が混在・集住するような集落形態も少し構成を考えれば、たどり着けそうです。

この仮設住宅が今後どのように使われるか。
陸前高田の広田半島を訪れた際には、緑の成長の様子なども含めて、また確認してみたいと思います。

(岡井 健)

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