稼ぐまちが地方を変える
  • 項 数:208ページ
  • 仕 様:新書 文庫本
  • 発行日:2015年5月8日
  • 出版社:NHK出版
  • 定 価:740円(税別)
稼ぐまちが地方を変える
木下 斉

レビュー


「稼ぐ」というだけあって利益率や市場性といったキーワードがあちこちに載っている本書ですが、実際のところの事業の具体的な数字やノウハウに関する記述はなく、意外にも「失敗談」「ことわざ」「鉄則」が書かれた新しい経営者の同志を呼びかける一冊です。

仮に設定した問いに対して本書から要約した仮の答えを挙げて紹介します。

 

“まちづくりにみんなが携わっていくにはどうしたらいいか”

多様な参加を募りアイディアを出し合う・参加者同士の合意形成を図る手法として、老若男女を問わず意見が言える場や行政事業への市民意見を集める際に採用される「ワークショップ」は、

縮小時代に適応した民間ベースの手法としては役に立たない。むしろ少人数でもリスクを負っている仲間意識の高いチームが自ら決断をして、まち全体の利益率を上げる事業を行っていくべき。そうしないと民間と行政がユルい依存関係に陥ってしまう

 

“まちの将来像をどのように描いていったらいいのか”

この問いには筆者から絵空事だと言われかねないですが、本書から読み取れるものがあるとすれば「稼ぐインフラ」「市場性と公共性を兼ねる施設を」といった内容でしょうか。

“みんな”が使える多目的な公共施設は短絡的思考でつくられた中途半端なものなので、こんな機会に使って欲しいという先回り営業をして成立する事業のみを実行(施設の建設・運営)すれば採算性を確保できると。これが人口規模も経済規模も財政規模も半分以下へと縮む地方に合わせた新たな社会のあり方の一つ。

 

市民参加型の合意形成のプロセスをサポートし、市民主体のまちづくりを住民と共に進め、市民提案型のまちづくりを創発してきた当法人にとって、本書の『市民「参加」から市民「実行」へ』は“参考”どころではなく“刺激”として、呼びかけに応えていくことも考えていく必要があるのでしょう。

最後に気になった内容をご紹介
・ことわざ「取らぬ狸の皮算用」:手に入るかどうかもわからない不確かなものに期待をかけて、ああだこうだと計画をねること
・筆者が国交省などと連携して実施した「道路使用における規制緩和の社会実験」が仙台でも行われていたようです。

レビュー:豊嶋 純一

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