- ソーシャルデザイン―社会をつくるグッドアイディア集
- グリーンズ 編
レビュー
本書には、社会課題の解決と新たな価値創造のための様々アイディアが並ぶ。所謂ソーシャルデザインの数々である。
中でも気になった事例は「街ぐるみでオープンな子育てを実践する「まちの保育園」」と「まちのお母さんがシェフになって地域を温かくする「タウンキッチン」」の二つだ。どちらも“場づくり”の取組みであり、既存の仕組みを変えたり、場を解放したり、視点を変えて新たな要素をプラスしたりと「アイディア」が有効に働いた例なのではないかと思う。
日本において、まちづくりや社会的課題を解決するための現場には、アイディアが入り込む余地が少なかったように思う。(ユーモアも同じである)
社会や地域と自分を結ぶ点はたった一つのアイディアとか、小さな興味やきっかけなのかもしれない。
“面白い”や“楽しい”は集積・活性の大きな要素である。また、ある面から見るとプロジェクトを進める上での“燃料”的な役割でもある。
しかし、それがどのように地域に浸透していくか、まちにどのような効果をもたらすか。その評価には、長い時間を要する事もあるだろう。それから、一部集団の趣味的でありすぎてはならない中で、そのバランスを見極めながらの活動は、日本のまちづくりの課題であり、同時に期待される事でもあると思う。
グリーンズはいつもこれらの話題を提供する素晴らしいウェブマガジンである。
レビュー:岡井 健
- 項 数:160ページ
- 仕 様:18.9 x 12 x 1.8 cm
- 発行日:2012年1月10日
- 出版社:朝日出版社
- 定 価:940円(税別)