空間と作品の関係性が面白そうなので一度訪れたいと思っていた
西沢立衛設計の軽井沢千住博美術館
http://www.senju-museum.jp/
 

その独特の日本画を描く千住博が
「芸術とは何か」に関わる問いに答えていく。
 
質問は「インターネットは芸術をどう変えましたか」
「すぐれた芸術とははどういうものですか」
「芸術は他人に教える事ができますか」
「作品の価格はどのように決まりますか」
「なぜ、日本人は印象派が好きなのですか」
といった、平易でいわば下世話なものも含まれているが、
先生が生徒に教えるように一つ一つ具体的に返している。
 
それらの芸術について多面的な問いへの答えから、芸術家としての生き方への示唆や絵画の制作手法、鑑賞、日本、平和、調和、社会といったテーマを浮かび上がらせ、人間が言葉にならない思いや感情をなんとかしてコミュニケーションしたいという熱量こそが芸術である、という筆者の思いが伝わってくる。
 
私たちが取り組むまちづくりも、コミュニケーションの積み重ねであるが、
やもすると分かりやすく、伝わりやすく、平易にしようとしすぎているかもしれない。
もちろん共感を得るためにわかりやすさは必要だが、その背景にあるまちづくりの熱量をじっくりと伝えていく必要があるなぁと改めて思う。

本書は月一定例のサポーターズミーティングの時に理事の方から
”君たちが若者と関わる時に絶対役に立つから” と推薦いただいた。
非常に読みやすく、芸術の秋の最初の一冊におすすめです。
改めて軽井沢の美術館に行きたくなりました。

この本を参考にしたプロジェクト