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ブックレビュー

Book Review

まちづくりに関する書籍をわかりやすくご案内します

ボローニャの大実験 都市を創る市民力
星野まりこ

レビュー


 イタリアのボローニャと聞けば世界最古の「大学都市」であり「ポルティコ」が連続する街として漠然としたイメージを持っていたが、この本では「学都」としての成り立ちから今日の状況、市民社会のあり方や産業間ネットワーク、文化・芸術による「創造都市」の在り方についてなど多様な姿が描かれている。学生向けの居住のために歩道上空の建築を許可した事によって雨でもぬれずに往来できる回廊「ポルティコ」が発展してきたことや、今後も大学の計画が市の都市計画と連動していることなど都市と大学が不可分である事は産業と大学が不可分でもあり、半数以上が留学生である学生と市民の関係も不可分なのである。

 そうした地方都市が自らの力で活力を生み出す工夫や制度、それに関わる人々がこの本でインタビューに応じており、活き活きと取組みを述べている。地方都市の豊かさとは、住民が自ら楽しんで暮らすことが、文化や芸術を支える起点となり地域内での仕事を生み出し、産業の発展へとつながり、やがては外部への魅力発信につながっていく。そのヒントが伺える。

仙台は“杜の都”と称されることが多いが、仙台藩の時代に開設した養賢堂から始まり人材育成を進める都市として現在に至るまで“学都”とも称されてきた。これからの時代に向けた「学都仙台」を創出するまちづくりが望まれている。

レビュー:佐藤 芳治

  • 項 数:262ページ
  • 仕 様:19 x 12.6 x 2 cm
  • 発行日:2006年5月26日
  • 出版社:講談社
  • 定 価:1,700円(税別)