まちの将来像を描く

ILC計画を契機としたまちづくりビジョン

世界に唯一の夢の実験研究施設ILC(国際リニアコライダー)を東北地方ならではのまちづくりとして取組むため、既存の市街地環境のリサーチによって得られた「里山の風景と生活の営み」を、これからのキャンパスや都市づくりの根幹に据え「里山キャンパスまちづくり」を提案した。

ILC計画を契機としたまちづくりビジョン

ILCとは

国際リニアコライダーという世界に唯一の夢の実験研究施設の建設地として北上山地が最有力候補とされている。これは安定した岩盤が広範囲に存在することに起因するが、実現することになると世界中からの研究者やその家族、関係者を合わせると約1万人と想定される学術研究都市となる。

研究の中心となるキャンパスや周辺には関連企業の研究所やオフィス、工場などの直接的な関連施設とともに、それらを支えるインフラと住居、学校や病院、店舗等の生活利便機能が必要となる。既存の市街地環境を活かしながら、東北地方ならではのに取組み、世界に発信することが求められる。

里山キャンパスまちづくり

国際リニアコライダーに関連する地域づくりにおいては、西は奥羽山脈から東は三陸海岸までを視野に入れ、交通環境や既存市街地の個性を活かして新たに必要となる都市機能をネットワーク型で各地に配置することが求められる。

我々は千厩丘陵や世界遺産に登録申請している骨寺荘園遺跡にみられる里山の風景と生活の営み、新たな取組みをこれからのキャンパスや都市づくりの根幹に据え、地域循環型の環境共生として「里山キャンパスまちづくり」を提案した。

  • 地域の豊富な山林資源・職人技術の有効活用(建築およびエネルギー源として)
  • 高齢化社会に対応した自動運転やデマンド型の新たな交通網の実証の場になるネットワーク型のまちづくり
  • 既存市街地の活用と新たな交流拠点の集約
里山キャンパスまちづくり

「里山キャンパス」のイメージ

田園と山林の狭間に地形に沿って配置されるキャンパス。自動運転機能を備えたデマンド型の新たな小型交通機関によって、地域の中核駅とキャンパス、住宅が結ばれる。

「里山キャンパス」のイメージ

里山の民家に溶け込む連棟住宅のイメージ

地元木材と伝統的な工法を継承する職人技によって引き継がれる溶け込み型の住宅では、農地や市民農園での共同作業を通じて、地域住民と各国の研究者や家族、関係者の交流を促す。

今回の提案の他、東北から日本を元気にするとして、今後検討が必要なテーマには、国際的教育環境の整備や一次産業と観光交流の総合展開、イノベーションを創発する起業環境の整備などが挙げられる。

里山の民家に溶け込む連棟住宅のイメージ