居久根とは?

居久根とは

居久根は、北関東から東北地方太平洋側、特に宮城県を中心にした地域の屋敷林の呼称です。「居」=家、「久根」=地境であり屋敷境の意味があります。主として屋敷の北西側に配置されスギ、ケヤキ、ハンノキ、クロマツの四種の高木が居久根の骨格。これらは高さ20m以上に達します。居久根にやってくる鳥が種子を運ぶため中低木の種類も豊富です。

居久根の効用

居久根の効用・図解

今と昔

今と昔

エネルギー
  • 落ち葉や枝、木を薪に
  • 家を建てた(居久根が建材)
  • 地区内に左官屋、移動製材
  • 孫に「切って家を建てて欲しい」
  • 果樹を食べた(柿、栗、キイチゴ)
  • 家畜を放し飼いにしていた
境界
  • 北風や西風、砂が舞うのを抑えた
居場所
  • 居久根の木陰で宿題、昼寝(通り抜ける風が夏でも涼しい)
学び / 遊び
  • 魚捕、野鳥捕り
  • ちゃんばら、かくれんぼ
  • 学校帰りにビワ、桑の実、グミを採って食べた
風景
  • 緑が鬱蒼と茂っていた
  • 「もののけ」を感じた
  • 管理は当時から手間だった

・居久根のある農家住宅モデル(昭和前期)

居久根のある農家住宅モデル

今と昔

エネルギー
  • 落ち葉を使わなくなっていった(燃料の転換)
  • 居久根を建材に使わなくなった。新築しても植えなかった
  • 居久根の果樹を食べた
境界
  • ブロック塀の登場、住宅の高機能化
  • 居久根で台風や強風から農作物を守った
居場所
  • 住民だけが知る木陰の抜け道があった
学び / 遊び
  • 七夕飾り作り、木登り、かくれんぼ、肝試し
風景
  • 居久根のある景色は生まれた時から当たり前
  • 居久根の管理の負担が大きかった
  • 管理できている家とできていない家があった

1968(S43)年頃の居久根のある曲がり角(南蒲生)

居久根のある曲がり角

今と昔

エネルギー
  • ガスと薪を兼用(灰小屋を共同で利用)
  • 居久根からベンチを作った(みんな職人)
  • 震災により倒れた木でチェーンソーアート
  • 通学路で桑の実を採って食べた
境界
  • 居久根で津波から家が守られた
  • 居久根がなくなり、隣近所が見えてしまう
  • 北風を防ぐものがない。風で家が揺れる
  • 家の中にいても音が気になる
居場所
  • 居久根の一部を切って広い庭が出来た(庭で自転車遊び、お茶っこ、BBQ)
  • 震災後に外との交流の機会が増えた
学び / 遊び
  • ホタルや野鳥が見られた
  • 「みちのくの湘南」
  • 居久根が減少しかくれんぼができなくなった
風景
  • 津波で枯れた居久根を切った
  • 今になって昔は緑が多かったことを感じる

2008年夏 枝豆の収穫作業

2008年夏 枝豆の収穫作業