データコラム:仙台×GISプロジェクト進行中!
都市デザインワークスでは、月に一回、サポーターの皆さんとミーティングを開催しています。
事務局スタッフから現在進めているプロジェクトを紹介したり、サポーターの皆さんからプロジェクトへの提案をもらったりしています。
この春、GIS(地理情報システム)を使いこなしているサポーターAさんから、「GISを使って仙台を分析してみませんか?」という提案をいただき、GISを活用したプロジェクトがスタートしました!
GISを使うと、位置情報付きのデータを地図上に可視化することができます。
GISによってデータを地図上に重ねて可視化していくことで、仙台市を様々な視点から閲覧し、分析することができます。新たな発見もあります。
事務局スタッフにもGISを多少使える者がいますが、AさんはGISの使い方を熟知していて、自らオリジナルの地図を作成してきてくれました。
まず今回は、市内を走る地下鉄東西線・南北線に着目し、東西線・南北線と徒歩移動による、仙台駅からの30分圏域の可視化を試みました。
地下鉄から地上までは一律で3分所要すると設定し、圏域を導き出しています。
(例:仙台→長町だと、所要時間8分 + 駅地上まで3分 = 11分。そこから徒歩で行ける残り時間19分を圏域とします)
このデータに、さらに人口のデータや道路の傾斜角度など、別のデータを重ねていき、様々な視点から仙台を可視化しました。
■仙台駅から30分圏内に居住する65歳以上の人口分布
250mメッシュを重ねた図です。仙台駅から30分圏内に居住する65歳以上の人口は77,867人で、市全体の33.2%になります。
■仙台市中心部の道路の傾斜角度
道路の傾斜角度を、歩道基準、車いすスロープ基準、歩行者限界基準、車の限界基準などで色分けしています。
こうして可視化してみると、
・仙台駅から30分圏域が予想以上に広い。東西線・南北線によって広い範囲がカバーされている。
・30分圏外には、一定程度の人数の高齢者が居住している。JR線は今回重ねていないため、JR線が多少カバーすると思われる。
・八木山周辺や市の北側は、坂道がきつい&多い地域であることが可視化された。
・30分圏外かつ坂道のきつい&多い地域は、高齢者をはじめ日常の移動で困ることが起きているかもしれない。バス路線でカバーされているのかもしれないし、車を運転できれば生活に困らないかもしれないが…
・今後、年をとれば車を運転できない人も増えるので、公共交通に加えて、地域交通のニーズが高くなるのでは。
・傾斜データを見ると、たとえ傾斜が厳しくても、旧城下町との連続性が重視されて、近辺の丘陵地での住宅開発が早い時期にされた可能性があるか?
などなど、様々なことが見えてきました。
このように、GISを活用すると、これまでと違った視点から都市を眺めることができます。
また、今回のAさんの提案を受けて、サポーターの皆さんの視点やスキル、知見を掛け合わせながら、都市をより深く考えていきたいと改めて思いましたし、それが都市デザインワークスらしさでもあると思っています。
現在、これらのデータをさらに更新中です。次回をどうぞお楽しみに。
*今回使用したデータはどれもオープンデータです。GISソフトウェアでデータ処理し、オリジナルの地図を作成しています。
●国土地理院 基盤地図情報 数値標高モデル 5mメッシュ (標高)
https://fgd.gsi.go.jp/download/menu.php
●OpenStreetMap (道路データ)
http://download.geofabrik.de/
●平成27年国勢調査 地図で見る統計(統計GIS) データダウンロード(250mメッシュ)
https://www.e-stat.go.jp/gis/statmap-search?page=1&type=2&aggregateUnitForBoundary=Q&coordsys=1&format=shape
●平成27年国勢調査 人口等基本集計(男女・年齢・配偶関係,世帯の構成,住居の状態など)(年齢別人口)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search?page=1&toukei=00200521
●国土数値情報 ダウンロードサービス(バスルート)
https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N07.html