せんだいセントラルパークの次の一手は!?「水辺視察 in 京都」レポート 〜vol.1 貴船の川床〜
都市デザインワークス第23期の期末スタッフ研修「水辺視察 in 京都」を9月に実施しました。
今年5月末、せんだいセントラルパークで長年あたためてきた「水上フットパス・デイズ」を実施。水辺を渡って楽しめるように、広瀬川の河川空間に 3 日間限定の浮き橋を設置しました。
https://www.udworks.net/archives/news-list/20240524
2017年の「伊達な川床」、そして2024年の「水上フットパス・デイズ」。
次は広瀬川でどんなチャレンジをしましょうか、と考えた時に、スタッフの頭に浮かんだのは、京都の川床と、鴨川の飛び石でした。
水辺が市民の生活の一部になっているような景色を、仙台にも作りたいですよね。
思えば、水上フットパス・デイズを企画したときにも、「また川床で過ごせたら・・!」「短期間の浮き桟橋ではなく常設できると良いですね」「飛び石や沈下橋みたいなものが広瀬川では出来ないですかね?」などなど、さまざまな声が聞かれました。
このタイミングで川床と飛び石を体感せずに、次の展開は考えられないだろう!ということで、一行は夏のおわりの京都へ向かいました。
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今回の研修のお目当ての一つである貴船には、鴨川のデルタ地帯からほど近い「出町柳」から比叡電鉄に乗り、30分くらい上流へ向かいます。
(鴨川デルタにも行きましたが、それは別のレポートで)
貴船口駅に無事到着した一行。駅を降りると、遠くから貴船川の水の音が聞こえます。
駅からさらにバスで上流へ向かい、いよいよ川床があるエリアに到着!
写真の右手側に貴船川が流れていて、流れが緩やかな場所では川の上に「川床」が置かれています。旅館や飲食店ごとに川床を置いているのですが、川床の形態にもちょっと違いが見られました。
例えばこちらの川床は、小さな堰の上下で、流れが緩やかな場所にそれぞれ設置されています。地形的にまとまって川床が設置できない場所も珍しくなさそうですが、これはこれでダイナミック。また、川床まで道路を挟んで左手にある建物から料理を運ぶ様子も見られました。
こちらの川床は、川幅が狭い場所だからでしょうか、両側に床板を渡し、中心に支えるためのブロックを設置しています。完全に川の上に床を置いています。竹を渡して日除けや照明をつけているのも印象的です。
こちらの川床では、足を水につけている若者の姿も見られました。こちらはカフェ営業もされていたようで、訪れた観光客が気軽に川床を楽しんでいました。
さて、我々が訪れた川床は、貴船の川床の元祖である「ふじや」さんです。
案内された先には、待望の川床が!
広い!奥行きがある!5〜10人程度でゆったりと腰掛けて会食が出来るスペースがいくつも用意されていました。
それだけの川幅があり、また流れも穏やかな場所に位置していることがわかります。
また貴船川に面して旅館の客室が建てられていて、秋〜冬の川床のオフシーズンには建物でお料理を楽しめるそうです。とても贅沢な場所ですね。
さて、川床に腰掛けてみると、思っていた以上に涼しい!半袖で現地入りしたものの、途中から長袖を羽織ってちょうど良くなりました。「京都の街中と10度は違う」という言葉も目にしましたが、納得です。
さらに、この川床は建物や山に挟まれていることもあってか、静かなところに水が緩やかに流れる音がバックグラウンドで聞こえてきて、とても心地良いです。(思わず寝てしまいそうになります・・)
川床と川の近さ、写真からお分かりいただけますでしょうか。少し前のめりになって手を伸ばすと触れるくらいの高さで、多少の水位の変化は問題なさそうです。パイプでがっちり補強している場所もあれば、写真のような場所もありました。
京都の川床は9月30日まで。その後は業者さんにお願いして、およそ2週の間で基礎から全て撤収されるそうです。
また、従業員さんに聞いたところ、増水は働き始めてから経験していないとのこと。それから、もし溢れそうになったらスタッフが頑張って床の部分を撤収するそうです。(もし下になにか流してしまったら大変なことですわ〜、と教えていただきました。)
ちなみに、お昼の時間が終わったらゴザを撤去していました。夜のお食事の時間に改めて準備をするそうです。
貴船の川床は鴨川の川床(納涼床)よりも歴史は新しく、大正時代にふじやさんで川床が始まったそうです。最初は簡易的な腰掛けである“床几(しょうぎ)”を川に出して、川の流れに足をつけて涼みながらお茶を楽しんでいたと言います。また、今のような「床」を川の上に出して、涼みながらお料理を楽しめる空間として定着したのは戦後のことのようです。以来、京都の避暑地として多くの人に愛されています。川端康成も訪れたとか。
参考:ふじやHP「川床のゆらいについて-元祖川床の歴史-」
http://www.kibune-fujiya.co.jp/kawadoko/#sec4
貴船の川床を訪れてみて、我々のように観光客も多かったですが、地元人らしき方々が食事を楽しむ様子も珍しくなかったのが印象に残りました。時代を超えて市民に愛される水辺空間、仙台にもつくりたいですね・・!