「水辺視察 in 京都」レポート 〜vol.3グラングリーン大阪へ寄り道しました〜
貴船の川床 → 鴨川デルタ → 鴨川の川床を巡った怒涛の1日目を経て、2日目。
京都を後にし伊丹空港へ戻る途中で、9月に先行まちびらきが行われた、グラングリーン大阪に寄り道をしました。
グラングリーン大阪はJR大阪駅北側すぐの「うめきた地区」に所在する都市公園併設の複合商業施設です。
梅田貨物駅跡地の再開発エリアであるうめきた2期区域に位置し、一部(うめきた公園・JAM BASEの一部・JR大阪駅からの歩行者デッキ)が2024年9月6日に先行まちびらきしました。
全体まちびらきは2027年春に行われる予定です。
今回は時間の都合から、うめきた公園のうち、サウスパークのみを視察しました。
サウスパークは芝生広場・噴水・ステッププラザ・ロートハートスクエアうめきた(全天候型の大屋根空間)・インフォメーション&イベントスペース・店舗により構成されています。
シンボルとなる大屋根(ロートハートスクエアうめきた)はSANAAが設計。
JR大阪駅からうめきた公園の南北エリアをつなぐ「ひらめきの道」をはじめ、構造物のデザインがエリア全体で統一されており、一体感が感じられます。
訪れたとき、残念ながら芝生広場は養生中で入ることができませんでしたが、その周囲のステッププラザと大屋根には平日の昼下がりながらたくさんの人が!
幅広い年代の方が思い思いに過ごされていたのですが、中でも、大阪の都心であることを忘れるほどに親子連れが多かったのが印象的でした。
(隣接するグランフロントの親水空間でも子どもたちが本気の水遊びをしているのを目撃。)
芝生に寝転んでうたた寝する人の横でオンライン会議に参加する人がいたり、はたまたさらにその横では若者が自撮りをしながら盛り上がっていたり・・・
(視察中ですがいろいろあり)私もしばらく作業をしていたのですが、開放的な空間と訪れている人たちの穏やかな雰囲気が相まって、とても心地よく、時間が過ぎるのを忘れそうでした。
今回訪れたのは平日の昼間ですが、朝や夜、休日はまた違った風景が広がっているんだろうなと感じました。
大屋根があることで、雨の日でも活動ができるのも魅力的です。
ぜひまた違うタイミングで再訪したいです。
大屋根には、公園でのアクティビティを誘発するこんな仕掛けが。
デザイン的にもステキなワゴンにはピクニックグッズやけん玉などの遊び道具が置かれており、自由に使うことができました。
(特にけん玉が人気でした!)
グランフロント大阪・梅田スカイビルなど周囲に高層建築がひしめく背景と広大なみどりの空間とのコントラストがとてもダイナミックで魅力的でした。
このスケール感は日本でなかなか体験できないのでは。
と、しばらくグラングリーン大阪で過ごすうちに素朴な疑問が。
なぜ関西最後の一等地と言われる、うめきたエリアに約45,000㎡もの広大な都市公園を作ることになったのでしょうか。
経緯を調べてみました。
今からおよそ150年前の1874年に大阪駅が開業。
1928年には梅田貨物駅(現在のうめきたエリア)が誕生しました。
1973年に貨物量のピーク到達後、次第に貨物量が減少します。
1987年の国鉄民営化に伴い、梅田貨物駅の全廃と用地売却が決定しますが、バブル崩壊の影響を受けて、開発の動きはしばらく止まることとなりました。
その後、2008年に一般社団法人関西経済同友会が「大阪駅北地区第2期開発区域についての緊急提言〜『緑と水』のグリーンパークの実現を〜」を発表。
背景として、大阪市には公園が少なく、一人当たりの都市公園面積が3.5㎡と東京23区についで低かったことがあったそうです。
一方で、2009年に日本サッカー協会によるスタジアム構想も発表されましたが、ワールドカップ開催地の候補から落選したことで、その方向は立ち消えていきました
2012年に大阪府市統合本部が取りまとめた「グランドデザイン・大阪」で「みどりを圧倒的に増やす」ことが位置付けられ、うめきたエリアにおけるみどりの開発が既定路線となったそうです。
経緯を調べ、大阪が世界都市を目指すうえで「ほんまもんのみどり」が必要だ!という民間の熱意から、一等地で広大な公園を創出することにつながっていると感じました。
今回は足を運べませんでしたが、大阪ではなんば広場や御堂筋の歩道拡幅など、ひと中心のまちづくりが進んでおり、これらの動きも地域の方の想いが大きく反映されていると聞きます。
仙台でも都心再構築の動きが進むなか、魅力的な都心の姿とは?自分としても改めて考えるきっかけとなったともに、さまざまな立場の人と一緒に考えていく必要があるなと感じました。
グラングリーン大阪のコンセプトは「まちでの出会いが、様々な価値を創造し、持続的にみんなと社会全体を良くしていく」こと。
まだ先行まちびらきから間もないですが、すでに多くの方に親しまれる憩いの場となっていることが印象的でした。今後は市民や来街者の新しいチャレンジや企業・研究機関等との相互の関わりが生まれ、より魅力的な場となっていくのだと思います。
全体まちびらき後にまた再訪したいと思います!
参考:
・(一社)関西経済同友会HP「うめきた再開発~『ほんまもんのみどり』実現を一貫して提唱」
・大阪市 「大阪駅北地区まちづくり基本計画」
グラングリーン大阪 基本情報
■民間提案街区
敷地面積:46,155㎡
開発事業者(JV):三菱地所株式会社、大阪ガス都市開発株式会社、オリックス不動産株式会社、関電不動産開発株式会社、積水ハウス株式会社、株式会社竹中工務店、阪急電鉄株式会社、三菱地所レジデンス株式会社、うめきた開発特定目的会社
■うめきた公園
敷地面積:約45,000㎡
整備主体:都市公園→大阪市・独立行政法人都市再生機構
公園施設→開発事業者
整備手法:都市公園→防災公園街区整備事業(一部、土地区画整理事業)
公園施設→公園施設設置許可制度