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都市デザインワークスからのお知らせです。

「ミズベリング名取川水系」レポート

2016年3月17日(水)に仙台AERにて行われたイベント「ミズベリング名取川水系」についてレポートします。
当日は「水辺」に興味・関心を抱く方々が100名近く集まり、「水辺」という公共空間の新しい活用の方法について国内外の事例を交えたミズベリングレクチャー、広瀬川で活動する市民団体による事例紹介(当法人も発表させていただきました)、最後には来場者が自由に発想してアイディアを出し合うプチが行われました。

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1. 『ミズベリングってなに? 』

はじめに、そもそも「ミズベリングってどういう意味の言葉なの?」ということで、ミズベリング・プロジェクト事務局の宮下さんから、ミズベリングの基本的な考え方について解説がありました。

<ミズベリング-MIZUBERING>

水辺+リング(輪) 水辺+ing(進行形) 水辺+リノベ(ーション)

このような意味が込められた造語で、常に現在進行形の気持ちで水辺とまちが一体になった美しい景観・価値を未来へ創造し続けるソーシャル・アクションワードのこと。
特にミズベリングの基本的な考え方として、①水辺空間の賢い利用②積極的な民間投資の誘導③市民や企業を巻き込む、という3つのポイントがあり、これまで防災の視点から国や行政に厳しく規制されてきた河川ですが、近年水辺の美しいを目指した規制緩和が進み、市民や民間のチカラを積極的に活かそうと、全国の水辺が動き出しているのです。
みんなで楽しくて素敵な仙台の水辺の使い方を考えるアクションをこれからどんどん起こしていきましょう! という呼びかけがありました。

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2. 地域の取り組み紹介

次に広瀬川の取り組みとして当法人・豊嶋からせんだいセントラルパークを楽しむ活動について、広瀬川清流を守る会・日下さんから活動紹介がありました。

<せんだいセントラルパーク>
杜の都・仙台のシンボルとして市民が誇りに想う広瀬川とその周辺に連なる公園や史跡、大学キャンパスなどを一体として捉えることで浮かび上がってくる空間を、勝手に「せんだいセントラルパーク」と呼んでいます。市民アンケートによると、身近な存在であるハズの広瀬川へは、水辺に足を運ぶ機会は少ないという結果が出ています。
そこで、せんだいセントラルパークのポテンシャルを生かそうと、当法人とピクニック仲間たちが集まって「ピクニックパレード」を開催しました。地下鉄東西線・国際センター駅上部にある芝生が植わっているテラスにハンモックを広げて、思い思いにくつろいでみたり、西公園や大学キャンパスをガイドと一緒に歩いて魅力を発見したり、さまざまな「佇む」「巡る」楽しさを感じてもらうイベントを多くの市民団体と連携しながら開催しました。
普段の日常の市民の皆さんがイメージする広瀬川の風景に、ちょっとだけ楽しみの要素が入るだけで全く違った新しい広瀬川の見え方に変わり印象が変化する様子を紹介させていただきました。

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<広瀬川の清流を守る会>
広瀬川での活動を長らく行っている広瀬川の清流を守る会では、歴史を大切にした「政宗さんの川狩り」や、自然環境に触れ合うことを大切にした「かっぱ祭り」などのイベントを行うと共に、車イスの方でも水辺に下りられるような環境整備にも携わってきているとの取り組み紹介がありました。

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3. 『常識を超えた新しい水辺のかたち』

ゲストスピーカーとして山名清隆 氏(ミズベリング・プロジェクト事務局 プロデューサー)から国内外の地域における水辺の活用事例を盛り込んだトークイベントが行われました。
事例としてまず紹介されたのは、大阪・道頓堀川に突如現れた巨大なお寿司の軍団。まるで川が大きな回転寿司の舞台となったこのプロジェクトは「ローリングスシ―」と言われ、回転寿司発祥の地である大阪ならではの水辺を大胆に使った作品となり、WEB・SNSで国内外に広く発信されました。

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次に、パリのセーヌ川沿いに人工のビーチを出現させた事例です。なんと毎年夏に川沿いを走る高速道路を1ヶ月間封鎖し、約5,000トンの砂を運んできてつくられた空間という大胆な試み。猛暑となるパリ中心部ですが川沿いのビーチでバカンス気分で楽しんでいるそうです。「パリ・プラージュ」と呼ばれるこの企画は当時の市長によって事業が促進されましたが、ある1人の幼い男の子から生まれたアイディアが元となったそうです。

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これらの他にも、山名氏からは国内外問わず様々な水辺を楽しむ様子の写真が紹介されました。どれも常識を超えた自由な発想から生まれた企画で、この日の来場者は水辺の楽しみ方の未知なる可能性を目の当たりにしました。

「これから人口減少が進み社会が縮小していく日本で、これまで通りの政策は全く通じない、新しい公共空間の活用が必要だ! さぁ、仙台・名取はどうする?」

と参加者に問いかけたのです。トークイベントに参加していた人々は、思考の呪縛から解き放たれ、思わず創造の意欲が身体の奥の方から湧き出てきたことでしょう。そしてトーク終了後、山名氏はすぐに会場にいた参加者たちから「名取川水系の水辺を楽しむアイディア」を引き出しました。

  • ・広瀬川にカヤックを浮かべ水上カフェを開く
  • ・川沿いにある西公園の木にツリーハウスを建てる
  • ・大橋の上で愛を叫ぶ企画を開催したらどうか
  • ・・・etc

各々が自分の趣味や好きな物に絡めながらアイディアを出し、その場で絵に描かれてさらに盛り上がりを見せました。

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以上

イベント参加を通して

震災から5年が過ぎ社会が次の段階に移行しようとしている今、これからの「水」との付き合い方を捉え直していくとてもいい機会になったのではないかと思います。そしてより多くの市民に「水辺」に対する関心を持ってもらうには、伝え方を工夫し水辺空間をメディアとして捉えていく重要性が再認識させられました。

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